天然記念物指定の古樹名木から一般家庭の庭木に至るまで、多くの樹木の樹勢が衰えたり枯死したりする現象が起きています。樹木の衰弱には菌類や昆虫などの生物要因、低温や乾燥などの気象要因、大気汚染や酸性雨などの環境汚染、養分欠乏や踏圧など、様々な因子が係わっています。樹木医学は樹木のさまざまな衰退現象を調べ、その原因や発生機構を解明するとともに、診断・治療・予防技術を開発して樹木の健全性を保つことを目的としています。樹木医学は樹木の健康に関する総合的な学問です。
樹木医学会は1995年9月に樹木医学研究会(1998年11月に樹木医学会に名称変更)として発足し、1999年9月に日本学術会議に学術研究団体として登録された学会です。2018年10月現在の会員数は約650名です。樹木医をはじめとして、樹木学、造園学、土壌学、樹病学、昆虫学、樹木生理学など様々な分野の研究者、技術者、学生などが樹木医学の研究や実践活動に取り組んでいます。
本学会は毎年秋に開催する年次大会において特別講演会と研究発表会を行い、会員に研究発表と情報交換の場を提供しています。年次大会の翌日には現地検討会を開催し、診断・治療等の技術的な問題に関する検討を行っています。さらに、樹木医学に関する知識・技術を普及するためのワークショップを年2回程度開催しています。また、学会誌「樹木医学研究」を年4回発行しています。今後も学会誌や研究発表会の充実を図りながら新たな企画を検討し、樹木医学発展のために活動を続けます。